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ケリー・マクゴニガル氏 働き方を変える最強のマインドセット【講演レポート】

約7分

お台場ヒルトンにて開催の、Sansan社のイベントにて、ゲストスピーカーとして登壇されたのは、世界的ベストセラー作家、スタンフォード大学講師のケリー・マクゴニガル氏

イベントのテーマは『働き方進化論』。マクゴニガル氏による、『仕事においてのストレスとの付き合い方』に関してのスピーチをレポートします。

働き方を変える最強のマインドセット〜ストレスを仕事に活かす方法

スタンフォードのストレスを力に変える教科書

「働き方を変える最強のマインドセット〜ストレスを仕事に活かす方法」というお題。

「スタンフォードの自分を変える教室」や「スタンフォードのストレスを力に変える教科書」の著者ですね。日本でも80万部のベストセラー。書店やAmazonで見かけた、手に取った方も多いのではないでしょうか。

1時間弱の講演でしたが、科学をわかりやすく伝える”サイエンス・ヘルプ”のプロであるマクゴニガル氏の魅力と知見が詰まっていました。

仕事のストレスによって死亡率は増加するか?

インディアナ大学ケリー経営学部による調査で、仕事によるストレスにおける死亡率で不思議な結果が見つかりました。

【2,363人の中高年(60-69歳)の被雇用者を集めて、死亡率を調査】
・仕事で要求されていることが多く、ストレスが「高い」グループの中で、1つのタイプは死亡率が15.4%高かった。
・ストレスが「高い」グループのもう1つのタイプは死亡率が34%低かった。

同じように仕事量と責任が多くストレスがかかるのに、なぜこのような違いがあるのでしょうか?それは、死亡率が高いタイプは自主性が低く、死亡率が低いタイプは自主性が高い環境にいたからでした。

同じストレスにおいても、仕事の裁量が、その身体反応に大きな違いを生み出していたのです。

あなたにとってストレスとは?

では、ストレスとは良いものなのでしょうか?それとも、害のあるものでしょうか?

あなたにとってストレスとは?

あなたはストレスを、左右どちらのように考えていますか?

ストレスは、有害で、マイナスのもので、人生で受け入れないといけないものでしょうか?

ストレスへの向き合い方次第で、より健康的で、精神状態も良くなり、生産性も上がりもっと仕事に取り組めるようになります。

逆に、ストレスにうまく向き合えないと、燃え尽き症候群になったり、体や精神に支障が出ることがあります。

ストレスによって起きる反応の良し悪しは、ストレスを感じた時のホルモンのバランスによります。コルチゾールホルモンが高くなりすぎると免疫やメンタルに悪い影響が。逆に、DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)はストレスから来る悪影響を抑えてくれます。

このホルモンのバランスを変えることは、実はあなたのマインドセットの仕方を変えるだけで出来る。そうマグコニカル氏は言います。

ストレス反応は認識で変えられる

「ストレスにより弱くなる」のか、「ストレスにより強くなる」のかという、『成長指標(growth index)』に関するコロンビア大の実験があります。
とてもネガティブな反応を被験者にわざと受けさせる、就職の模擬面接を行います。面接の前に3分間のビデオを被験者は見ます。

・被験者の半分: 「ストレスは実は人に力を与えてくれるもの」という内容のビデオ
・残りの被験者: 「ストレスは想像するよりもっと人を弱め衰弱させるもの」という内容のビデオ

ストレスに関してポジティブな内容のビデオを見た人たちは、嫌な面接を受けてもDHEAが高く、成長指標が高いとわかりました。

ストレスに対する反応を変えることは、認識レベルで出来ることなのです。

Remind yourself that your stress could be helping you.

ストレスは助けになると自分に言い聞かせる。」(ケリー・マクゴニガル)

マインドセット・リセット

ストレスはチャレンジをするときにおきます。ビデオゲームをしている時も、非常に難しい外科手術をしているときも、チャレンジするということは同じです。

ストレスを人は回避しようとしますが、こうするとかえって生産性が下がったり、悪い体の反応をもたらします。これは、ストレスを回避しようとすることで、一番大事な課題がおろそかになるからです。

もっとシンプルに、「ストレスは自分を助けてくれるもの。エネルギーをくれるもの。」と認識して下さい。交渉や面接の時。スポーツやプレゼンのとき。試験や、カラオケで歌うときでさえ、エネルギーをくれる!と思うだけで結果がよくなったという研究があります。

ストレスがチームに与える力

崖におちそうになっているひとと、助けようとしている人。どちらがストレスを感じていると思いますか・・・?実は、両方がストレスを感じているそうです。

ストレスは人と繋がるという効果もあり、ストレスを通して必要な支援をえることも出来る。助けを必要としている人を見ると、見ている側も勇気をもらい、助けたくなるそうです。

1人で出来る以上のもののことに対して感じやすいのがストレス。ストレスを上手く活用すれば、周りの人のパフォーマンスも上がるということですね。

ストレスを無理に隠さない

ソーシャルな場でのストレス反応は周りの人に勇気をもたらします。

マクゴニガル氏が教鞭をとるスタンフォードの学生も優秀な人が多いのですが、水面下で必死に足をばたつかせている『白鳥シンドローム』になっている人が多いそう。もっとストレスを見せることで、孤独、恐怖も感じなくてすむし、周りと協力する機会が増えます。もっと水面を透明にして、助けを求めてもいいのです。事例が2つあります。

1. 回復力アップ – Pain Challenge

15分つけていると手を失ってしまうような冷たい氷水に手を入れて、我慢比べをします。危険な実験ですが、手を水から出した後のストレス反応の回復は、大切な人を思い浮かべていた人が圧倒的に早かったのです。

2. 人をサポートすることが自分を助ける

誰かにはげましの手紙を書いたり、誰かをサポートしてあげることで、逆に抵抗力、パフォーマンスが上がるという結果もありました。

人生で最もストレスのたまる出来事は?

「人生で最もストレスのたまった出来事は?それを通して何がわかったか?」と質問をしたところ、以下のような回答がありました。

1. 私は自分が思っているより強いことがわかった
2. 私は自分の人生の価値を深く理解している
3. 私は精神的な問題をよく理解している
4. 私は人生の新たな道を切り開いた
5. 私は他人に対して大きな思いやりを持っている

ストレスは変化、学習、成長のチャンス

マクゴニガル氏自身も、勤務先が敵対的買収をされ、社内は対立、怒りに満ち溢れ、多くのストレスを感じたそうです。ですが、何年も経って振り返ると、良かったこともあると感じるそうです。

5分の間、具体的に過去のストレスを感じたことを考える。その後2分間、学べたことを考える。こうすることで、「自分は成長出来る人間だ」と感じ、全く違うストレスの反応が出来るようになるそうです。

Stress is an opportunity to change, learn, and grow.

とても小さいことですが、パワフルなマインドチェンジです。是非、ストレスを味方につけて、個人としても、チームに対してもポジティブな変化をもたらす「リーダーシップ」を発揮して下さい!そんな温かいメッセージで、大きな拍手の中講演は締めくくられました!

まとめ

・ストレスは助けになると認識する。困難に立ち向かう時に、ストレスは助けになると思い返すだけで、良い反応に繋がる。

ストレスは周りの人とのつながりを高めるもの。より良い信頼感をチームにもたらす。

ストレスは成長のチャンスであり、経験から学ぶためにある。

事例がたくさんありわかりやすく、シンプルなメッセージが伝わって来るスピーチでした!若くて超優秀(そして美人!)なマクゴニガル氏の存在は、海外志向の人や、女性のモチベーションを与えてくれますね。

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