なぜあの人は中学英語で世界のトップを説得できるのか 孫正義のYesと言わせる技術
ソフトバンク社長秘書室長による一冊
ズバリ、“なぜあの人(孫正義さん)は、中学英語で世界のトップを説得できるのか?”。この疑問に焦点を当てた本です。
著者は、ソフトバンクの社長秘書室長の三木雄信さん。孫さんが英語で世界を魅了しているのを間近で見てきた方です。
孫さんは、スピーチライターも使わず、自分の言葉で世界の要人を説得します。
そこで気がついたのは、最初は英語があまり得意ではなかった三木室長も聞き取れた孫さんのスピーチには、秘密が隠されていたことです。孫さんの英語プレゼンを分析してみたところ、使われていた英単語はなんと1480語しかありませんでした。英文法も、大多数が中学校で習ったレベルのシンプルなものです。
その英語プレゼンの技術とは何なのでしょうか?
孫正義の英語の技術
孫正義さんが、今まで交渉をし、口説いてきた世界のトップはこのような方々です。
- Microsoftのビル・ゲイツ
- Appleのスティーブ・ジョブズ
- Amazonのジェフ・ベゾス
- Yahoo!のジェリー・ヤン
…誰もが知っている経営者ばかりですね。
彼らとのビジネスに、孫さんが使った技術は、正確な発音でも、難しい文法でもありません。
本書には、その秘訣である技術が紹介されています。ビジネス英語を最速で身につける10の技術。そして、かならず使う決まり文句や、よく使う表現などの50のポイントと、1480語についてです。
全ては紹介しきれませんので、厳選したポイントを紹介致します!
ビジネス英語を最速で身につける10の技術
発音を捨てて、アクセントとリズムを追求する
YouTubeなどで孫さんの英語を聞いて下さい。誰もがすぐわかる通り、完全なジャパニーズ・イングリッシュです。
ビジネス英語を最短で学ぼうと、効率を意識された方なら”発音は捨てる“ということは聞いたことがあるかもしれません。言うは易しで、発音を本当に捨てていいものかと、躊躇される気持ちはありませんか?
発音を捨てる代わりに是非実践して欲しいのが、リズムとアクセントを大切にすることです。
- アクセント: 英語でのアクセントとは、音の強弱。
- リズム: 日本語とは違う、英語独特のリズムがある。
→ 例えば、英単語”Program”はカタカナだと「プ・ロ・グ・ラ・ム」だが、英語だと「Pro・gram」と2つの音節にわかれている。アクセントは”o”についている。(日本語だと”ム”にかろうじてアクセントがついているくらい。)
このようなリズムとアクセントを重要視すると、綺麗な発音でなくても伝わる英語になるのです。
リズムとアクセントの習得のためには、とにかく声に出すこと。そして、ネイティブ並みの綺麗な発音は諦めること。この2点です。
単語を無目的に覚えるのはやめ、必要な単語だけ確認する
先ほどもあった通り、孫正義さんは1480語の英単語を普段使っています。
無目的に単語を覚えるのがよくないのは、プレゼンなど仕事のパフォーマンスに直結しにくいからです。孫さんのスピーチでは、基本の1480単語を使っており、誰もがわかるような内容を話しています。
そして、プレゼンのトピックに合わせて、その場その場において、必要な単語を追加しています。(携帯会社のシェアは2社に独占されている、と話すときには、独占ならぬ複占を意味するduopolyという単語を使うなど。)
孫さんですら、1480語で戦っているのです。普通のビジネスパーソンが、不用意に単語を増やすのはあまり得策でないのではないでしょうか。
日本人が陥りやすい英語学習の間違い
正しい英語で話さないといけないと思っている
日本人が陥りやすいメンタルブロックとして、「正しい英語で話さなければならない」と思ってしまうことです。
「私の英語は、単語、発音、文法、熟語も十分ではない。だから話せない。」…このように思うのです。
これは、日本語が使われている、日本の環境が原因です。
日本語を話す人において、ネイティブとノンネイティブに、ほぼはっきりと分けることが出来るからです。
しかし、英語においては、話せる、話せない、のいわば1か0かには分けられないのです。
アメリカ英語、イギリス英語にはじまり、オーストラリア、シンガポールの英語もあります。
インド英語も、今後話される人口としては巨大になってきます。
実際にアメリカやイギリスに行くと、ファーストフードの店員さんやタクシードライバーなどは移民一世が多いです。
いわゆる”英語ネイティブ”とは何なのだろう?と思うくらいです。
気にしていても仕方がない。どんな人も、まずは話すこと。アウトプットすること。それが大切です。
孫正義の英語のポイント50
冒頭に喜びと感謝を伝える
孫さんのスピーチの冒頭のメッセージです。
I’m very excited to be here. And I’m so happy that we are sharing thoughts together.
(ここにいることにとても興奮しています。そして、私どもの考えを皆さんと共有できることがとても嬉しいです。)
ここで使われている単語も文法も、中学生レベルのものばかりです。
まず、プレゼンのはじめに、言いたいことをはっきりと言いきってしまう。
決して流暢とはいえなくても、まずシンプルにメッセージを伝えることで、ここから先の話しやすさをぐっとアップさせています。
プレゼンテーションを始める決まり文句がある
次も、とてもシンプルなこのフレーズ。
Let me start my presentation.
(プレゼンを始めさせてください。)
英語のスピーチをする時、話の流れを変える時に困った経験はないでしょうか?
自分が言いたいことははっきりしているのに、流れの転換が聞き手にわからないと、聞き手は混乱してしまうものです。
簡単な英語で自信を持って言えることはとても大事です。
たくさんこのような表現を思える必要はありません。自分自身がすでに知っているフレーズではっきりと型を決めてしまうほうがよいのです。
孫正義は、”Let me~”でよく流れを転換します。とても簡単な表現ですが、プレゼンの流れについて、非常にわかりやすく伝えることが出来る便利な言葉です。
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他にも、孫さんの英語の極意が詰まった本です!
英語学習の指針となりますので、是非読んで、自分のものにしてみてはいかがでしょうか?