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【生産性】日本のホワイトカラーの大課題から抜け出そう【伊賀泰代】

約6分

生産性 (伊賀 康代)

生産性 (伊賀 泰代)

伊賀泰代さんが語る、生産性

マッキンゼー出身のキャリアコンサルタント、伊賀康代さん。前作の「採用基準」に続く「生産性」。日本のホワイトカラーの生産性の低さを課題に感じ、警鐘を鳴らす一冊です。

ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、伊賀康代さんは、マッキンゼー出身として執筆するときの名義です。

普段は、社会派ブロガーの”ちきりん”さんとしてブログや、Twitterで発信されています。

ちきりんさんのTwitterは、Twitterをされている方は是非フォローを…!
日常のつぶやきや、生産性に関しての鋭い指摘が刺激になりますよ!

話は逸れましたが、ちきりんさん名義で『自分の時間を取り戻そう』、伊賀康代さん名義で『生産性』。これらを同時期に出版しています。

自分の時間を取り戻そう、が一般向けに書かれたものとすると、本書はビジネスマン向けに書かれた本ですね。また、すでに生産性の重要性を理解している読者向けです。

同じ”生産性”をテーマにした本を同時期に出すことで、それぞれ別の層にリーチさせ、どちらも話題になっています。(上手なやり方…!)

『自分の時間を…』も良書なのですが、断然『生産性』の方をおすすめします!

日本のホワイトカラーにない概念

冒頭は、生産性に関する日本の労働現場における認識のなさに対する問題提起から始まります。

工場など、生産ラインにおける生産性は、日本は世界でもトップクラスです。これが、なぜかホワイトカラーになると、途端に生産性という概念が抜け落ちてしまいます。

・とりあえず、頑張れ!時間をかけて取り組めばいいのでは
・クリエイティブな仕事だから、生産性は関係ない
・生産性?クオリティが下がってしまうのではないか

…と、このような考えに満ち溢れていると、指摘しています。1つ目はブラック企業叩きによって是正されつつありますが、2,3つ目に関しては、同感する人も多いのではないでしょうか。

日本が競争力を高めるには、この『生産性』の改善が必要。そんな強い危機感と想いで筆をとられています。

生産性とは?

そもそも生産性とは何でしょうか。明確に定義がされています。

生産性は、得られた成果を投入した資源で割ったもの。このような式で表せます。

生産性 = アウトプット÷インプット

つまり、投入された”希少資源”であるインプットから、どれだけの成果 = アウトプット が得られたかということです。

希少資源は、時間はもちろん、お金などの物的資源も含まれます。

それでは、生産性はどのように上げることが出来るのでしょうか?2つのポイントがあります。

①改善 (インプルーブメント)
②革新 (イノベーション)

改善と革新

改善には2種類あります。単純に、インプットを減らす方法と、アウトプットを増やす方法の2つがあります。
改善は3%、確信は30%、生産性をアップさせるものです。

3%のインプルーブメント

同じ仕事を、より短い時間で出来るようになるのは改善です。また、同じ時間で、より多くの仕事や、より質の高い仕事で出来るようになるのも改善です。

これは、日本の生産現場ではよくイメージ出来ることかと思いますが、ホワイトカラーの環境においても同じ考えを持ち込むことが大切です。

30%のイノベーション

イノベーションは、「そもそも◯◯をやる必要がなくなる」、というものです。

わかりやすい例としては、ハブ空港が挙げられています。A B C D Eの空港があるときに、それぞれ直行便を出していると多くの便数を管理する必要がありました。そこで、真ん中にハブ空港を設けることで、それぞれへの直行便でなく、ハブ空港を経由地として目的地まで行けるようになります。たくさんの便の種類を管理する必要がなくなるので、コストをかなり浮かせることが出来ます。これはイノベーションの1つです。

成長とは

生産性を上げることによって、より少ないインプットでより多くのアウトプットを出せるようになる。

生産性を上げることこそが、”成長”です。多くの人が持つ、”成長って…?”ということに対しての、もやもやを晴らしてくれるキーワードですね。

生産性を上げるためにまずすること

生産性を上げるために、今すぐに出来ることがあります。それは、『自分の時間を取り戻そう』でも言われていましたが、まず自分がどれだけの時間を使っているかを明確にすることです。

例えば、英語のメールや文章を読むのにどうやって生産性を上げるか、ということがあります。

一般的な英文メールを読むのに、感覚的には10分だと思っているのに、実際には30分かかっているということが多くあります。これは、想像しているのよりも3倍生産性が悪いと言えます。

そのために、まず自分がそれぞれのタスクにかかっている時間を見える化することが大切です。伊賀泰代さんは、ストップウォッチを活用しているそうです。自分のタスクの時間を可視化することで、自分の想像と実際の生産性の違いを知ることが出来ます。(やってみると、結構ショックを受けることもあります…笑)

伊賀泰代さんはストップウォッチを使っていますが、Togglというサービスが、Webや、iOS/Androidアプリでも使えるタスク管理/見える化に便利ですよ!
タスクをプロジェクトごとに分けて時間をトラッキング出来るのも良いです。

まとめ

・日本のホワイトカラーが、国際的に圧倒的に劣っていて、そもそも概念にもない人が多いのが、”生産性”という考え。

・生産性とは、アウトプット÷インプット。生産性を向上させることこそが、成長。

・生産性を上げるには、日々の3%の改善 = インプルーブメントと、30%の向上が起きるイノベーションがある。イノベーションは、”そもそもそれをする必要がなくなる”レベルのもの。

・具体的には、日々の業務にかかっている時間を計測して生産性を見える化することが第一歩。そこから、目標を決めてどんどん改善・革新させていくことが大切。

前作『採用基準』でリーダーシップの大切さについて。本書『生産性』では日本の仕事における生産性の概念の大切さを論理的、ですが同時に熱く語られています。

伊賀さんの捉える”日本の競争力”には、リーダーシップと生産性が不可欠ということですね。豊富な事例から展開される鮮やかなロジックも、本書の見どころです!

生産性をアップさせたい!と思っている方。または、生産性についてもっと考えたいと思っている方は、後悔はしないので読んでみて下さい。

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