未来志向読書会in東京

読書体験を、もっとおもしろく。

天才!で、”天才”の隠されたヒミツを知ろう

約7分
天才! 成功する人々の法則

・自分が優れていないのは、自己責任で、努力不足?
・天才は、うまれながらにして天才だと思う

「天才!」は、このように思ったことがある方に、是非手にとって欲しいです。

天才!

才能よりも、”天才”に重要な要素があった・・・?!

原題の『Outliers』とは、統計上の外れ値、つまり通常の値から大きくかけ離れている値のことです。才能のある人たちのことを、私たちは「天才」と呼ぶ。この当たり前の考え方、思い込みに、著者のマルコム・グラッドウェルは疑問を持ちました。

マルコム・グラッドウェル – 著者紹介

イギリス生まれ。米国誌『ニューヨーカー』のエースライターとして世界中にファンを持つ。書籍は寡作なものの、持ち前のわかりやすさと、人を惹きつけるユニークな切り口で、いずれも出版するたびに200万部を超えるベストセラーとなっています。

本書でも、さすがジャーナリスト、と唸るような、豊富な事例展開と導かれる結論の巧みさが光ります。訳は勝間和代さん。勝間さんも、本書に唸り、「訳すことでもう一度深く読み返したい」という思いから、翻訳に名乗り出たそうです。

アイスホッケー選手の奇妙な共通点

カナダのプロのアイスホッケー選手の不思議な共通点。どういうわけか、1月、2月、3月生まれの選手が多い。中でも圧倒的に多いのが1月生まれでした。1月生まれの選手の数は、11月生まれの約5.5倍も多いという結果になりました。

なぜだと思いますか?

その理由はとても単純です。 カナダでは単に、同じ年齢の少年を集めてクラスをつくる場合、年齢を区切る期日を「1月1日」に設定しているからです。

ここでの1月生まれの少年と、12月生まれの少年の間には、約12ヶ月の差が身体の発達に大きな違いを生んでいます。アイスホッケーの名門であるカナダでは、監督はメンバーを9歳か10歳で選び始めます。当然ながら、体が大きく、器用な少年を才能ありとみなします。

代表メンバーに選ばれると良い環境で練習が出来、監督やチームメイトにも恵まれます。数年経つと、指導と練習量のおかげで本当に優れた選手になり、メジャージュニアリーグに進み、さらにその上のリーグへと進める可能性が高くなります。

「選別」「能力別クラス編成」「特別な体験」の3つの条件で、早く生まれた子供たちが、大きな(そして累積する!)アドバンテージを得られ、結果的に「才能のある選手」になれたのです。

逆に、才能ある人を効率よく選ぼうとして生まれたこのシステムには、あまり効果がないということもわかります。

一万時間の法則

音楽学校からプロになれる人の違い

さきほどのアイスホッケー選手も、全員がプロになれるわけではありません。もう一つの重要な要素があります。

ベルリン音楽アカデミーの二人の教授の助けをえて、アカデミーで学ぶバイオリニストを三つのグループに分けたテストがあります。トップのグループと、”優れた”という評価にとどまるグループ、プロになれそうもないグループ。

このような質問をしました。「はじめてバイオリンを手にしたときから、これまで何時間、練習してきましたか?」

トップクラスの学生は9歳で週に6時間。12歳で週8時間。14歳で週16時間。20歳のころには、上手になりたい一心で、強い決意を持って、ゆうに週31時間以上も練習していた。
そのころには、トップクラスの学生の総練習時間は、ひとりあたり一万時間に達していたーーー

“優れた”グループは8000時間。プロになれそうもないグループでは、4000時間を少し上回る程度でした。

プロとアマチュアのピアニストについて調べたところ、同じ傾向が見られました。

ここでのポイントは、この調査をした心理学者エリクソンが、”生まれつきの天才”を見つけられなかったことです。プロの集団にいながら圧倒的に練習量が少ない天才もいなかった。逆に、1万時間を突破しながら、トップランクに入る力がないタイプも見つからなかったのです。
一流の音楽学校に入る実力を持つ学生がトップになれるかどうかを決めるのは、「圧倒的な、たくさんの努力」のみでした。(あのモーツァルトですら、努力を重ねた「遅咲き」だったそう。)

リバプールでなくハンブルク?

1万時間の法則は成功のための共通ルールなのでしょうか?偉大な成功者について調べれば、訓練を積むために与えられた特別な好機が必ず見つかるのでしょうか?

ハンブルクの、ビートルズ?

ザ・ビートルズの4人がアメリカに上陸したのは1964年。彼らはアメリカのポップミュージックの概念を覆しました。

ビートルズはアメリカに進出するまでに、グループを組んでどのくらいの時間が経っていたのでしょうか?レノンとマッカートニーが一緒に演奏をしはじめたのが1957年。アメリカに上陸するまでには7年の、長い下積み期間がありました。

まだ売れる前のビートルズに、ドイツのハンブルク行きの話が持ち上がりました。ストリップ劇場で、客引きのために演奏をする。しかもぶっ続けで。そこにビートルズは集められました。

この劇場のギャラも、音響も、観客の質も決して良いとは言えない。彼らが演奏させられた時間の長さだけが、特別でした。彼らの評判が広がるにつれて、演奏時間もより長くなっていきました。

たった1年半で、270晩もステージに立つ。1964年に成功をおさめたときには、すでに1200回もライブをこなしていたことになります。ステージで鍛えられていた。ゆうに1万時間を突破していた。これが成功を呼び込みました。

これらの好機のポイントは、「訓練を積むための、より多くの時間を与えてくれたこと」です。ビートルズのようなライブに明け暮れたバンドグループが、世界に何人いたでしょうか?

隠された好機

IT長者の共通点

ビル・ゲイツ: マイクロソフト共同創業者
ポール・アレン: マイクロソフト共同創業者
スティーブ・バルマー: マイクロソフトCEO
スティーブ・ジョブズ: アップルコンピュータ創業者
エリック・シュミット: Google創業者

彼らの共通点は何でしょうか?今度は、生まれた「月」が同じ、というわけではありません。生まれた「年」が共通しています。

彼らは全員、1955年生まれです。これは、この年よりも早く生まれた世代は、当時のIBMなどに代表されるメインフレームのビジネスにはまってしまって抜け出せず、このあとに生まれた世代は、すでに1955年世代がコンピュータ・ビジネスを固めてしまった後に社会に出たために、新規のビジネスを手がける余地がなかったからです。

コンピューター時代の幕開けの時に、遅すぎず、早すぎず、20歳になるころにちょうど頭角を現すタイミングで生まれた。そして、その情熱を捧げた。「タイミング」と好機が彼らをIT長者にさせたのです。 

スティーブ・ジョブズの名言が、それを物語っています。

I feel incredibly lucky to be exactly at the right place in Silicon Valley at exactly the right time historically where this invention [computers] has taken form.
(歴史的にこのコンピューターという発明が形作られた「時」に、シリコンバレーという「場所」にいられたことを、ものすごく幸運に感じている。)

Steve Jobs, 1994

天才は、本人の才能だけだはなく、才能を開花させるに至った経緯がもっとも重要。つまり、好機と、偶然与えられた優位点。それがいかに大切かを、本書は伝えてくれます。

まとめ

・「天才」を天才にしたのは、才能だけではなく、好機と、偶然与えられた優位点。本人の内部要因だけではなく、天才を生むための外部要因も大切。

一万時間の法則は、突き抜けるために必須の条件。

・一万時間を突破するための、長時間にわたってトレーニングを積める機会こそが「並外れた好機」

・その好機も、社会とシステムのタイミング次第で、成功出来るかが大きく変わる。

生まれながらの天才などいない。そう強く訴えかけてくれる、たくさんの例事例にあふれた一冊です!これらの方法を活用していけば、自分も突出した人になれるのでは?という期待と未来が見えてくる本です!

読書会を開催中!

ご興味を持たれた方は、ぜひ会場でお会いできたら嬉しいです!

参加希望の方は、お早めにどうぞ!