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ニュースの”なぜ?”は世界史に学べで、手早く国際情勢通に!

約7分
ニュースの"なぜ?"は世界史に学べ

・新聞だけでは、ニュースの背景がわからない
・世界史の学び直しをしたい
・国際情勢の本を読みたいが、時間がない

こんな方は、ぜひ読んでみてください!

例えば、こんな質問に答えられますか?

・ロシアとウクライナはなぜ対立するのか?
・なぜEUはギリシアを見捨てないのか?
・アメリカとイスラエルは、なぜ友好関係にある?
・「クルド人」とはどんな民族なのか?
・中国が尖閣諸島にこだわるのはなぜ?

・・・心のシャッターが閉じてしまった人もいるかもしれません。笑

情報をまずとるには、土台となる基礎知識と、”きっかけづくり”が必須です。本書は、「なんとなく分からないけれど、このまま誤魔化し続けていいものか…」というあと一歩のところに手が届きます。(学び直す世界史の本などもありますが、そこから学んでエッセンスを取り出すまで至るには、相当時間がかかります。)
テロ、イスラム国、米露対立、中国の野望、イラン、シリア難民、アジア情勢・・・。地政学・宗教・世界史で激動の国際情勢が一気にわかる!100の質問と答えがまとまった、とっつきやすい一冊です。

茂木誠 著者紹介

駿台予備校の人気世界史講師。首都圏各校で難関国公立系の講座を主に担当。持ち前のストーリーのわかりやすさで人気を博す。「報道2001」「NewsZap」などテレビでも話題。

本書は、あのニュースステーションのキャスターだった久米宏氏が、「ニュース番組をしていたときに読みたかった! 」と絶賛する1冊です。

ヨーロッパの憂鬱 – ウクライナ問題と難民問題

ウクライナ紛争の原因は何か?

2014年3月、ウクライナの南部あるクリミア半島を、ロシアが領土として編入しました。他国への軍事介入をして、編入をした。東ヨーロッパの大事件です。

EU・アメリカは経済制裁をロシアに加えるなど、欧米とロシアの関係は、冷戦が終わって以来の緊張度合いです。

なぜ、ウクライナ紛争は起きたのでしょうか?最大の要因は、ウクライナの「位置」です。

これまでの世界を振り返ってみると、主な紛争は、異なる文明圏の『境目』で起きてきた
(サミュエル・P・ハンティントン『文明の衝突』より)

以下の戦争/問題を見てきても、文明の『境目』で紛争は絶えず起きていることがわかります。

・欧米のキリスト教文明とアラブのイスラム文明→十字軍、湾岸戦争、イラク戦争

・インドとパキスタン(イスラム文明 vs インド(ヒンドゥー)文明)→印パ戦争

・中国と新疆ウイグル自治区(中華(中国)文明とイスラム文明)→民族問題

ウクライナも、2つの文明のちょうど『境目』です。「西ヨーロッパ文明」と「ロシア文明」の対立の構図により問題が起きています。

※ ロシアってヨーロッパじゃないの?と思った方。回答とともに、ヨーロッパの成り立ちを他のQ&Aで答えてくれています。世界史のおぼろな記憶を思い起こしながら読むと、違った目線で読めて興味深いです。

キリスト教とユダヤ教が対立するのはなぜ?

キリスト教はユダヤ教の分派です。ユダヤ人の大工の子として生まれたイエスは、しばらく砂漠に行って、帰ってきたら説教を始めました。

そしてイエスは、今までのユダヤ教の律法を意味がないと言い放ちました。食べ物の戒律、安息日の必要性などです。律法をやむを得ず、破らなければならない貧困層の人たちはこれを喜びました。

「律法よりも、心の底から神を信ずれば救われる」これがイエスの主張です。異民族でも、敵のローマ人であっても、信仰すれば救われるということになります。これが、キリスト教が世界宗教になった大きな理由です。

ユダヤ教の指導者はこれに憤り、イエスは罪人となり磔の刑になりました。ここまでだと、ユダヤ教の分派のようですが、このあと、「処刑されたイエスが甦った」という話が広まり、弟子たちによって神として祭り上げられました。そうしてキリスト教が生まれました。

ユダヤ教とキリスト教の違いは、「大工の息子であるイエスを神と認めるか認めないか」というのが根本的なポイントです。これが対立が消えない理由です。

「流浪の民」ユダヤ人: ローマ帝国での反乱に失敗し、ユダヤ人の流浪の生活が始まりました。定住をしなければ農業も、不動産も持てない。だからユダヤ人は金銀や宝石などの不動産以外の財産を積み上げるしかありませんでした。やむなく「金貸し」になったのです。

台頭するイスラム過激派と宗教戦争

IS(イスラム国)は何と戦っているのか

2015年、IS(イスラム国)が日本人の人質を相次いで殺害し、日本中に衝撃が響きました。

残虐な犯罪を繰り返しながら勢力を広げるIS。国際社会も連合体制を敷き、ロシアも空爆を行いました。

ISをめぐる戦いは、イスラム過激派vs欧米諸国(おもにアメリカ)という構図なのでしょうか?

問題はもうすこし複雑です。なぜなら、ISはイラクやシリアなど、同じイスラム教徒に対しても攻撃をしています。穏健なイスラム教徒も、ISの「イスラム国」という名称を嫌がります。

ISは、スンナ派の過激派武装組織です。スンナ派とは何か?というのを知るために、イスラム教の始まりまでさかのぼりましょう。

唯一神アッラーのお言葉を伝える最後の預言者であるムハンマド。ムハンマドが語ったアッラーのお言葉をまとめたのが『コーラン』です。

・シーア派:ムハンマドの血統を重視。ムハンマドの娘婿のアリーを後継とし、子孫を指導者とする考え。イランがシーア派の大国。イスラム教徒全体の10%。
・スンナ派(スンニ派):慣行や慣例、しきたりを重んじ、教典を重視。イスラム教徒全体の90%。

ISは、スンナ派の過激派武装組織です。ほとんどのスンナ派は穏健派ですが、ISにとって、シーア派はイスラム教を捻じ曲げていると考えます。偶像崇拝なども一切禁止です。対IS戦の最前線で戦っているのは、イランの革命防衛隊です。

アメリカのグローバリズムと中国の野望

アジア投資銀行(AIIB)の創設は何を意味するか?

2015年に中国が創設した「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」に参加表明した国・地域は50カ国をたちまち超え、大きな話題になりました。

AIIBは、アシアのインフラ整備を支援するという目的で創設された、中国主導の国際金融機関です。

欧州各国は、「GDP世界第2位」の中国と経済的に切っても切れない関係にいます。そのため、静観すると言われていたイギリスが参加を決め、他の欧米諸国も参加を次々と表明しました。

GDP世界第1位と3位のアメリカと日本は、保留の態度です。これは、アメリカが最大出資国である世界銀行、日米が最大出資国であるアジア開発銀行(ADB)があるためです。今回のAIIBは、中国からの挑戦だととっています。

これは、世界におけるアメリカの力が相対的に低下していることを物語っています。今、アメリカと中国の間で、大きな勢力交代劇が起こっているのです。

本書は、一問一答式で、アメリカと中国の対内/対外のダイナミックな変化を語っています。

例えば、アメリカがなぜ戦争を繰り返すのか、という疑問から、アメリカの政党の金融系と軍需系資本の間での揺れ動きの話。アメリカの政党がいくつもある思想の違う「派閥」を、絶妙なタッチで意識している話。巧みにバランスをとっていたものの、以前の覇権が揺らぎつつあるアメリカという国を知ることが出来ます。

対して中国。日中関係と米中関係をベースに、反日運動や尖閣諸島問題や、過去のキーになった歴史的出来事など、豊富な事例があげられています。そこから読み取れるのは、日中、米中の関係性の変化です。当然、政治的にも経済的にも米中を避けられない日本の外交は、帰路に立たされています。日中関係の今後は?という質問で、本書は締めくくられています・・・!

まとめ

・地政学・宗教・世界史で、国際情勢の大局が理解できる。

→ テロ、イスラム国、米露対立、中国の野望、イラン、シリア難民、アジア情勢

・文化の衝突や、政治的な動きは地理的・文化的『境目』を理解することで格段に読み解きやすくなる。

・アメリカの世界での影響力、中国の台頭をベースに、日本の対外関係を取り巻く環境は、ドラマティックに変動している。特に今後の日本の立ち位置は、今後の外交をキーに決まっていく。


さすが人気世界史教師といったところで、ちょうど良いマクロ的な目線で世界のトピックを読み解いてくれています!
世界史が好きな方も、苦手意識がある方も、暗記とは全く違う世界史という「新しい見方」を得るきっかけになるのではないでしょうか。

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