未来志向読書会in東京

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君はどこにでも行けるを読んで、頭の中の国境を消そう?!

約8分
君はどこにでも行ける

日本は豊かなのに、何となく不安を感じるのはなぜ?
将来は海外に出て活躍してみたい
経営者(ホリエモン)がどう世界を見るのか知りたい

このように思ったことがある方に、オススメの一冊です!(表紙は「テルマエロマエ」の作者が描いたものですよ〜)

出所から2年半。28カ国56都市を訪れてホリエモンが考えた仕事論、人生論、国家論とは?

激変する世界。激安になる日本。立ち止まり、置いていかれている、かつての力を失った日本。それに対して、激変する世界を、ホリエモン独自の鋭い経営者として切り口で記す。

世界は変わる、日本も変わる、君はどうするーーー「日本はかなり快適だけど、そろそろ外を見てもいいかもよ?」そんなメッセージが響く一冊です。

君はどこにでも行ける

激安になる日本

日本はかつてない「安売り」の時代に入った

2015年の末、メディアアーティストの落合陽一さんはツイッターで次のようなコメントをしました。

日本人のセルフイメージって2010年のGDPのままな気がする。中国に抜かれたって大きく報じられたから今でも僅差だと思ってる人多すぎる。
今日本のGDPはアメリカの約1/4だし、中国の半分以下だし、一人あたりは世界27位の貧しさだ。

これを受けて、思想家の東浩紀さんは、こう回答する。

より屈辱的なのは、にもかかわらず日本最高とか言い募る若者がいっこうに減らないことだ。(中略)
日本最高とか言う前に、一回でも外国行ってみればいろいろわかるんだけどね。

堀江さんもほぼ同意見で、実質の経済レベルでは、日本はアジアの中堅かやや下の国と、同じレベルになりつつあるという認識がない、と指摘します。

日本人が、日本礼賛と周辺国叩きをしたところで、”Japan as No.1″だった頃の風景が、取り戻せるわけではない。自国の誇りを確かめ合っているだけでは、むなしさが募るだけです。絶望をすることはないが、日本の現状を、しっかり受け入れるべきです。

「買収」より「バイアウト」という言葉で考えよう

いまの日本人は保守的になっています。変化の速いグローバル社会では、「新しい試みは避ける」「現状をキープしたい」という保守の特性は不利です。

堀江さんはコンサルティングをした起業家の例を挙げます。彼は創業した会社がヒットをしたものの、他社の買収提案を断り、遂に会社は潰れてしまった。理由は「買収は世間的にイメージが悪いから」。

堀江さんは、

買収は「会社を乗っ取られる」ようなマイナスのイメージがあるので、「バイアウト」と言えばいい。

高く買ってくれるのであれば、価値がある証拠だし、その高値をベースにまた新しいビジネスにも投資が出来る。

と言います。

マイルドヤンキーがとらわれる”なんとなくの不安”

日本人、特に若い人たちが海外に出なくなったと言われるようになって久しい。海外へ出るメリットは円安とネットの発達で、だいぶ薄くなりました。

堀江氏の分析では、今後海外に出て行く人は”エリート層”に限られ、出て行かない人の代表は”マイルドヤンキー層”となっていく。2つの層の断絶は深く、外に出て行かず、情報も偏りがあるマイルドヤンキー層は、適確な情報が入ってこない。そのため日本の現状が理解出来ず、外国人が押し寄せて、自分たちの仕事が減りつつあるというリアルな背景をつかめなくなっている。その結果、正体不明の”なんとなくの不安”に押しつぶされがちになると言います。

激変する世界

堀江氏が訪れた都市を、エリアごとに解説しています。アジアとヨーロッパ、南米・アフリカと続きます。ここでは、成長著しいアジアの中から二ヶ所紹介します。

ハリウッドに押しかけるチャイナマネー

映画産業の主な市場は、実はほぼ中国になりつつあることを知っていますか?ハリウッドの新作映画の予算の多くを占めるのは、いまやチャイナマネーです。 たとえば、『トランスフォーマー』シリーズは、中国企業2社が製作に加わり、中国国内の撮影場所に選定、劇場へのプロモーション、撮影後の編集作業を援助しています。同作には中国人俳優の起用も決まっています。 そして2016年には、中国のワンダ・グループは、アメリカの映画会社「レジェンダリー・エンターテイメント」を35億ドルで買収すると発表しました。同社は『ジュラシック・ワースド』『インターステラー』『バットマン』シリーズを手掛けている名門スタジオです。

日本人に負けない裕福な中国人が一億人以上いる

チャイナマネーのバブルは一部の超富裕層の話なのでは?と思ったかもしれません。四川省の成都のような内陸部でも、発展の勢いはものすごい。堀江氏は、成都で見た高層ビル、富裕層向けのサービスが行き届いたレストラン、おしゃれなストリートに圧倒されたそうです。

日本人の平均所得に劣らない中国人が、本土には一億人以上います。また、平均レベルの上昇も、著しい。中国人はだいたい日本人より貧乏・・・というイメージが過去のものだと指摘します。

東南アジアの勢力図を塗り替える能力

ベトナム

2014年に中国と関係悪化のニュースが報じられる。南シナ海での石油利権をめぐって海上船での衝突が繰り返されました。ここで、アメリカが味方についたのはベトナム側。ベトナムの国際的な評価は決して低くないことがわかり、社会主義国としてのポジションはかなり高いと言えます。勤勉で優秀な国民性もあり、もとは自分たちが東南アジアの盟主だったという誇りもあります。資源も豊富なので、東南アジアの勢力図を変える底力を秘めています。

カンボジア

観光ビジネスでは隣国のカンボジアも負けていません。アンコール・ワットという観光資源を生かして、リゾート開発が進んでいます。欧米人からの観光客も、資本の流入も増えるでしょう。

ラオス

ラオスは社会主義の内陸国です。国民の多くが自給自足の農業に就いています。ひとりあたりの名目GDPは1693ドルと、ASEAN最低レベルなものの、近年の経済成長はめざましいです。資源関連部門が好調で、観光客も増えているのでホテル・飲食などのサービス部門も拡大しつつあるそうです。

それでも東京は世界最高レベルの都市

世界最高レベルのサービスを受けられる首都・東京

堀江氏が強調するのは、日本は「安く」なっていくばかりだが、日本の大都市の質や価値は、決して下がってはいない、という点です。日本の都市部のインフラのクオリティと、成熟性は世界屈指です。東京は特に世界一といってもいいと、太鼓判を押します。

特に公共交通機関のダイヤの緻密さと正確性はトップレベルで、東京オリンピック誘致の際でPRされたそうです。

また、東京では財布を落とすと返ってくるというプレゼンには、会場がどよめいたそうです。セキュリティレベルと民度の高さは堂々と世界に誇れます。

料理の美味しさやヘルシーさ、サービスの質。コストパフォーマンスの良さは群を抜いています。

堀江氏は、バブルで儲けた日本人ビジネスマンが海外を訪れたようなことが日本でも起こると言っています。美味しくて安いものがある街は、とても印象が良い。その結果、世界の富裕層の投資が集まるようになります。日本は観光立国としてアジアで一番、稼ぎまくれるポジションを取っているのです。

アジア随一の都市計画のクオリティ

住むにはもちろん、ビジネスをする場としても東京はベストです。東京は凋落しているとはいえ、マーケットの大きさは今でも世界トップクラス。そして、都市としての成熟度もとても高いです。
ビジネスの場として熱いバンコクは、雨季になると最悪で、冠水や洪水も起きてしまいます。東京は江戸時代から治水をはじめており、見えないところに投資をし続けて、長年かけて作り上げた便利な都市なのです。

ヨーロッパに比べると、元気のなさが目立つものの、まだまだ東京も捨てたものではない。きれいで安全で、何よりアジアに近い。地政学的に有利なポジションは何世紀経とうと変わりません。

(だらだら書くのもよくないので飛ばしますが。
東京だけでなく、福岡、瀬戸内、大阪についても触れられています!)

国境は君の中にある

僕たちに行けない場所はない

海外にどうしても行かなければならない理由はあまりありません。「出て行く」ことの本質とは、何でしょうか?物理的に海外へ飛ぶことではありません。

地球だけでなく、宇宙までもグローバリズムはつなごうとしています。もはや、行けない場所はない。それが、堀江氏が肌感覚で学んだことです。もう国の「外」と「なか」を区別する意味は、なくなろうとしています。

何を見たいのか、何がほしいのか。何をやりたいのか。それをはっきりさせないと、いつまでも自分の中の国境は消えません。逆に言うと、はっきりさせれば動きだすのは簡単です。

頭のなかの国境を消そう。そうすれば君はどこにでも行ける。

まとめ

日本はかつてないほど「安く」なった。過去の幻想からマインドを変えて、驕らず、ネガティブにならず、事実を認識すべき。

・中華圏をはじめとするアジアの経済発展とテクノロジーの変化は著しい。世界には日本と同じくらい豊かな層や、超富裕層が誕生し、増え続けている。

・日本のインフラ・食・治安・サービス・地理的な位置のレベルの高さは世界随一。得意な部分を伸ばし、海外の富裕層の観光客・投資マネーを呼び込むべき。


鋭い目線の独自のマーケット感覚で世界各国を読み解く目線が光る本でした!ホリエモンの旅行記に経済・ビジネス観点が添えられたような、読みやすい一冊。

海外志向の方、日本の現状を冷静に見たい方は、手にとってみて下さい!

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