20代で読むべき本: 一瞬で心をつかむ文章術
3倍速く、心を掴む文章を書く
「心を惹きつける文章を書くこと」と、「文章を素早く書くこと」はトレードオフだと思ったことはありませんか?実は、1つのコツを身につければ、今までの3倍速く、しかも上手に文章を書くことが可能なのです。それも、小手先のテクニックではなく。
メールや報告書はもちろん、ブログ作成やデートのお誘いなど、いろいろなところに応用が可能です。
著者紹介: 石田章洋さん
石田章洋さんは『世界ふしぎ発見!』(TBS)を手がける放送作家です。他にも、『TVチャンピオン』『情報プレゼンター・とくダネ!』『BSフジLIVEプライムニュース』などの番組を主に担当されています。
そんな、いわば“心を惹きつける文章を速く書くプロ”の石田さんが、その秘訣を教えてくれる本です。
なぜ文章を書くのが苦手なのか?
文章を書くのが苦手な理由は何でしょうか?3つのパターンがあるそうです。①何を書いていいかわからない。②考えを文章化出来ない③メンタル的な理由 の3つです。
文章を書くのに苦手意識を持っている人と、苦手意識を持っていない人の違いは何でしょうか?それは、苦手意識を持っている人は文章を考える:書く:直すの比率が1:8:1なのに対して、苦手意識を持っていない人は4:4:2の比率なのです。苦手意識を持っていない人は素早く文章が出来上がるので、全体の時間も短いです。
文章を書けるようになるたった1つのコツがあります。それは、「しっかり考えてから書き始める」ことです。
これは料理をする時を考えるとわかりやすいです。準備なしに料理が出来るでしょうか?料理にすぐに取り掛かり、作業をしながら野菜がない、何がない、と行動していては、良い料理は出来ません。その上、時間もかかってしまいます。
テーマに迷わないから速く書ける!
文章とは読んでもらうためのものだと、石田さんは仰っています。時々、書くために書く人がいるのですが、すべての文章には読者がいることを忘れてはいけません。
読んでもらう人のことを思って、価値ある情報を提供する必要があります。
そのために、テーマの設定がとても重要になります。価値あるテーマ、面白いテーマにするためには、すべてのテーマを疑問文としてすると効果的だそうです。仮説を立てて、それを検証するということですね。本屋で売れる本もそうです。常に問いかけをしてくれています。「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」という本もわかりやすい例です。この疑問を問いかけることで、本屋で目にとまった人の頭の中に、この疑問が刷り込まれ、気になってしまうのです。
誰が読むかを考えるのも大切です。
例えば、エコカーを売るとしましょう。そのターゲット層は、車好きの人なのか?それか若い男性なのか?それを考えることで、訴求ポイントも違ってきますよね。
石田さんがテレビ番組を作る時も、中学生に向けた内容なのか?情報源を100%テレビとしている主婦なのか?という風に、具体的にターゲットを設定します。そうすることで、使う文章やフレーズなども変わってきますし、より響く内容にすることが出来るわけです。
ネタ集めに迷わないから速く書ける!
さて、テーマの設定が出来た後は、材料を集めます。ここでの材料とは、情報のことです。
情報不足だと、書き始めてもすぐに書く手が止まってしまいます。逆に、情報を集めすぎてしまうと、何を書いていいのかわからなくなってしまいます。
情報集めにもポイントがあります。
①テーマ②ターゲット③目的です。これをしっかりと意識することが出来れば、この情報爆発をした情報社会の中でも、効果的に情報収集をすることが出来ます。
事実・実例・数字・データが代表的です。あなたの意見をバックアップしてくれます。
ポイントは、自分が今持っている知識のみで文章を書き始めるのはNGということです。自分の知識と、新しい情報を組み合わせることで、はじめて価値のあるものを化学変化を起こせるようになるのです。
インターネットの活用方法としては、膨大に情報が溢れているため、世間の人はどのようなことに注目しているか、何が主流なのか、という”あたり”をとるのに使うといいそうです。
また、仮説を立てれば当然欲しい材料が具体化するので、情報集めも速い!とのことです。
石田さん流のノートの取り方も紹介されています。付箋をつかってノートをとる方法が写真で掲載されています。付箋で情報を集めておけば、アウトラインを考えるときにペタペタと構成を作ることが出来るので、使い勝手が良いそうです。
組み立て方に迷わないから速く書ける!
情報集めが出来て、アウトラインが完成したら、次は文章の組み立てに入ります。ここでも秘密を紹介してくれています。それは、文章の組み立てには黄金パターンがある!ということです。
文章を書くときに、国語の授業で”起承転結”を意識しろと言われたことはありませんか?実は、使い勝手があまり良くなく、場合によっては混乱を招いてしまう構成なので、一旦忘れて頂いたほうが良いそうです。
基本の構成は、「序論→本論→結論」の流れです。小論文の基本の形ですが、実は提案書・エッセイ・セールスレターなど、様々な用途へ応用が利きます。
・本論: メインディッシュ。問いかけの答えになる、自分の伝えたい主張を集めてきた根拠を積み上げて述べる。
・結論: まとめの部分。特に、問いかけに対して明らかにした答えで読者を納得させ、すっきりさせるところです。
基本的には、今まで集めてきた材料を当てはめるだけです。上記の基本の型のほかにも、効果的な構成パターンが書かれています。
速く書き続けるには?
速く書き続けるポイントは何でしょうか?村上春樹さんのデビュー作である、『風の歌を聴け』にて、このような一節があります。
完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。(村上 春樹)
村上春樹さんでさえ、そのように仰っているのです。文章を書く上で是非やってみて欲しいことがあります。それは、「6割の出来でOK!」とすることです。最初から完璧な文章を目指してしまうと、手が止まってしまいます。
「締め切り効果」で集中力Upをするのもオススメです。人間は、締め切りが近くなるとパフォーマンスを上げることが出来ます。自分で勝手に作った締め切りであってもそれは有効です。
書き出しで迷わないから速く書ける!
純文学以外は、書き出しにこだわる必要はありません。書き出しに迷ってしまう人は、最後に書いても大丈夫です。
書き出しとは「つかみ」です。最初の3行で、読んでもらえるような書き出しを目指しましょう。
「?!」をちりばめ、心をつかむ文章にする!
全米ナンバーワンのセールスライターと名高いシュガーマンのセールスライティングの本を、読んだことはありますか?『10倍売る人の文章術』です。彼はこのように述べています。
第一センテンスの唯一の目的は、第二センテンスを読ませることであり、第二センテンスの唯一の目的は、第三センテンスを読ませること、そして第三センテンスの唯一の目的は、第四センテンスを読ませることである。
シュガーマンはこれを「滑り台効果」と名づけています。滑り台を滑らせるように、読者を引き込んで行きましょう。
「実は」という言葉を使って、読者に先が気になると思ってもらえるようにする、などポイントが書かれています!
最終チェックで心をつかむ文章にする!
先ほど、6割の完成度を目指そうという話をしました。その理由がこちらです。「見直し = 推敲で文章はきまる!」いよいよ、直しのパートです。
推敲を行うときは、3つのパターンの読者になりきって行うと効果的です。
・1人目: 粗探し大好き、意地悪タイプ
・2人目: 流れや内容を重視するタイプ
・3人目: 文法に詳しい国語の先生タイプ
これらを通して、誤字脱字や、流れに問題がないか、読みやすくなっているかを確認出来るのです。
「速く」「面白い」文章を書く習慣作り
考えるというたった1つのコツを通して、”書く・読む・直す”が簡単に出来るポイントに溢れた本です。
では、どうやったらこの習慣を身につけることが出来るのでしょうか?
それは、とにかく読んで、とにかく書いて、そして工夫を重ねることです。半年も続けていれば、習慣になり、質もぐっと上がっていることでしょう。
私も一生もののスキルとして、書く力を身に着けたいと思います。
まとめ
- 文章を書く苦手意識の理由は、考えるプロセス不足によるものだった!
- 考える: 読み手のターゲット層を決め、具体的なテーマを設定する。
- 考える: テーマに基づいて、自分の主張をサポートするような情報を収集する。
- 書く: 序論→本論→結論のパターンを使いこなす!
- 直す: 文章の完成度は、6割の出来を目指せばOK。推敲で完成度を上げる。
文章を書くのに苦手意識がある方はもちろん、文章術の本を多数読んでいる方にも有益な情報がたくさんの本です!