数字で見るアジアのパワー

「経済の中心はアジア」「中国が熱い」
…そう言われてから軽く10年が経過していますが、メディアでは「中国バブルは崩壊」「アジアビジネスでの失敗」など、様々な面が取り上げられています。
実際に、客観的なデータを見たことはありますか?数字で見るアジアに、フォーカスしてみましょう!
人口統計を見る意味
人口統計をみていきますが、そもそも人口統計を見る意味とは何でしょうか?
世界的に有名な投資家のジム・ロジャーズも、投資をするにあたって必ず見るのは人口統計だそうです。
年齢の統計を見ると、2018年に国内で生まれた日本人の赤ちゃんは91.8万人。
戦後で過去最少を更新。3年連続で、100万人を割っています。
これは何を意味するかというと、この年で生まれた赤ちゃんが10年後、20年後、と大人になっていっても、91.8万人より増えない、ということです。
当たり前のことですが、最も強力な消費層である40代(家のローンもあり、子供も育てていて、家族の行事も多々ある)になった時にも、その数字は絶対に増えないのです。事故や災害、病気などで、減っていくばかりです。
2020年の日本の平均年齢は48.3歳で世界1位です。
対して、ベトナムの平均年齢は31歳。
これを見ると、活発な人口が多いのはどちらの国かは容易に想像出来るでしょう。
(出典は国連の推定人口”World Population Prospects, 2019 Revision”)
アジアの中間所得者層の推移

こちらがアジアの中間所得者層の推移です。
中間所得者: 世帯の可処分所得が、年間5,000 米ドル 〜 35,000 米ドル の人。
(総合研究開発機構のNIRAの定義による)
日本人のサラリーマンとさほど変わらぬ所得を持っている人ですね。
(35,000米ドル/年は日本円に換算すると、年収380万くらい。日本のサラリーマンの年収の平均である432万と近いですね。いや、日本の非正規雇用と合わせると、むしろ高いくらいでしょうか…。)
中国が青、インドが緑、その他が黄色です。
アジア全体を見ても、日本は”その他”であり、インドと中国のめざましい増加が見て取れます。2010年の9.4億人から、たった10年で2020年には20億人にも達するのです!その伸びは、なんと2.1倍。

次は細かい国別に見ていきましょう。右が高所得者層+中間所得者層で、左が中間所得者のみの推移です。
「高所得層」は世帯可処分所得 35,000 米ドル以上の世帯です。
右と左は見た目にはさほど変わりませんが、圧倒的な購買力のある高所得者が2020年にはアジア全体で1.9億人になるのには驚きですね。
1990年にはどこも同じくらいだったのが、2020年になるとインドと中国が圧倒的になり、インドネシアもかなり存在感を増しているのがわかります。
世界の過半数を占めるアジアの人口

こちらは単純に、世界を7つのエリアにわけて(日本だけは単体で表現されていますが)表現したグラフです。
今まで米国中心だった経済圏が、アジアに移っていく様子が感じられます。
悲しいことに、日本は本当に一番下にスレスレになってしまっており、2050年には1億人さえ切ってしまうと言われています。
アジアにおける日本の現状
ゴールドラッシュのアジアに取り残され
「現実を見よ」 – 柳井 正
稼ぐことを忘れて、国を閉ざす日本人へ
あなたが変われば、未来も変わる
ユニクロの創業者、柳井さんの著書の帯のフレーズを引用させて頂きました。
これから、日本に閉じこもって右肩下がりの経済に生きるのか。
日本のアイデンティティーを上手く活かしながら、自分の活躍の範囲をアジアへ、世界へ広げて活躍するのか。
数字は多くを語りませんが、読み解いていくと、そんな問いかけをしてくれているようにも感じますね。