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【臨界期仮説って?】語学習得には年齢のリミットがあるのか?

約 6 分

語学習得には年齢のリミットがあるのか?

臨界期仮説って?

語学学習には年齢のリミットがある?

あなたは、語学の学びやすさには年齢が関係している・・・と聞いたことがありますか?

”臨界期仮説”英語ではCPH(Critical Period Hypotheses)といいます。

語学学習と年齢には関係性があるのかどうかを詳しくご紹介します!

臨界期仮説とは?

ある一定の年齢である”臨界期”を越えると、それ以降は言語の習得が不可能になる、という仮説

ここでの”言語”とは、外国語と母国語の両方について言われています。
様々な研究者によって、長い間議論されている仮説です。
臨界期までに言語がインプットされないと、その人は言語を習得するのがとても難しくなります。

特に、文法・語法については習得がそのハードルはぐっと高くなります。

臨界期仮説の歴史

臨界期仮説の歴史は、ワイルダー・ペンフィールドとラーマー・ロバーツの研究から始まりました。

1959年に、2人が臨界期仮説を世界ではじめて唱えました。彼らは言語の神経科学に基づいた研究をしていました。2人の主張によると、多言語を学ぶのには”9歳までのリミット”があるということです。

次に、約10年後にエリック・レネバーグが1967年に”言語の生物学的基礎 (Biological Foundations of Language)”という著作にて研究を発表しました。

彼の研究によると、子供の語学の習得にはある一定の期間があるということです。

言語中枢の発達は右脳左脳両方でされるものであり、そのリミットは13歳までというもの。レネバーグの研究は脳の側性化の理論がもとになっています。

側性化とは: ヒトの運動や感覚は、脳の左右のエリアの両方をつかって同じように機能しています。
言語に関する脳の機能は、左右のどちらかの半球に主要な機能が偏って使われているとされています。
どちらかが優位に使われることを、”側性化”と言います。

次にノーム・チョムスキーによる研究です。子供たちは生まれつきどの言語でも身につける能力があると彼は主張しました。

2人の少女に見る、母語の習得

ジニーのケース

1970年に発見されたジニーという少女がいます。彼女は父親からひどい虐待を受けていて、13歳に発見されるまでのほとんどを暗い部屋に閉じ込められて過ごしました。

彼女は親に話しかけられることはなく、重い椅子に縛られていました。
会話もできず、歩くこともままならない悲惨な状態でした。社会からほぼ完全に断絶されていたのです。

のちに、彼女は言語の訓練を受けました。単語は覚えることは出来るものの、ロジカルに文を組み立てたり、文法を使えるようにはなりませんでした。

トレーニングの後、ジニーの脳の動きを見たところ、左脳が使われていないということがわかりました。13年間使われなかった左脳は、機能することをやめてしまったのです。
臨界期を越えたあとには、母語ですら身につけるのが非常に困難と言えます。

イザベルのケース

もう1人のケースがあります。イサベルという少女です。彼女は、目と口の不自由な母親によって育てられており、7歳のときに発見されました。
専門家は最初、イサベルも目と口が不自由だと勘違いをしていました。なぜなら、音を発することは出来るものの、彼女は話すことが出来なかったからです。

専門化によるトレーニングの成果あって、イザベルは1年ほどで読みが出来るようになり、意味が通じる文章でも話せるようになりました。

発見当初、非常に低かったIQも、2年後の9歳の時には、ほぼ同年代と同じレベルまで飛躍的に成長することが出来ました。
これも臨界期を越える前だったので、脳が言語の習得をすることが出来たと考えることが出来ます。

母語の習得: 構文と文法

構文と文法の理解にもリミットがあります。
そのリミットは、0~12年の間と言われています。先ほどのジニーのケースは、幼少期を全く言語に触れることなく過ごしました。

そのため、彼女は文法的に正しい文章を作ることが出来るようになりませんでした。(ジニーは50代で、現在もアメリカに住んでいるそうです。)

語彙

語彙力は、構文と文法に比べると比較的、臨界期による影響は受けないそうです。

ジニーも単語を覚えて並べることはできたため、語彙を増やすことは年齢を重ねても出来ると言えるでしょう。

発音

発音は語学を学ぶ人にとって、気になるところですよね。

先述のエリック・レネバーグによると、なまりがなく、ネイティブに近い発音を得るためには、脳の側性化の前のタイミングで言語を勉強し始めるのが良いそうです。

タイミングとしては6歳より前がベスト。遅くとも12歳までに学びはじめることが理想

…と発表されています。この裏づけとなるのは、アメリカに移住した人を対象に、比較を行った実験です。

①何歳でアメリカに移住したか
②何年アメリカに住んでいるか
③ ①②それぞれの発音がどれだけネイティブに近いか

長くアメリカに住んでいることよりも、何歳でアメリカに移住したことの方が、大きく発音に影響をもたらすという結果になりました。

臨界期仮説は本当にあるのか?

そもそも、臨界期仮説のCPHのHは、”Hypotheses”という聞きなれない単語です。
この単語は、”仮説”という意味をもっています。

長い間研究されているテーマですが、決定的な結論はいまだ出ていません。その研究者の多くは、”早くて5歳、遅くとも思春期前後の間”に臨界期があるのではないかと指摘しています。

なぜ仮説の域を出ないのかというと、思春期の後に第二言語、または外国語の勉強を始めても、ネイティブ並みの発音を習得出来るケースがあるからです。

これでは仮説の存在が元も子もないじゃないか…となりかねませんが、確かに以下のようなケースがあります。

テキサス大のデヴィッド・バードソングは臨界期の存在を否定しています。

21歳以上でも、熱意をもってトレーニングをすれば、10%以上が文法や発音をネイティブ並みにすることが出来ると主張しています。

ただ10%というのは(なにが条件になっているのかは不明なものの)かなり少ない数字であるので、大多数の人にとって、ある程度の臨界期は存在すると考えられますね。

まとめ

臨界期仮説
  • 臨界期”仮説”は1959年から始まった、語学の習得と年齢に相関性があるのかを明らかにするための研究。
  • 多くの研究者は、5歳から13歳(思春期)までに臨界期が存在し、それ以降は文法・構文・発音がネイティブ並みになることが著しく困難になることを主張。
  • 一方、臨界期仮説自体を否定する研究者もいる。Birdsongは臨界期とされる年齢の後でも、訓練を受けると一定の人はネイティブ並みの発音・文法力を身につけることが出来ると主張。(10%程度)
  • 肯定派も否定派も決定的なエビデンスには欠けるものの、多くのケースでは語学の学習には臨界期が関係していると予測出来る。

13歳を越えてからどのように語学と付き合っていくかについて、自分自身の目的に合わせて考える必要がありますね!

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