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【TED1番人気】 エイミー・カディ「ボディランゲージが人を作る」に学ぶ自分を強くするボディランゲージ!

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【TED1番人気】 エイミー・カディ「ボディランゲージが人を作る」に学ぶ自分を強くするボディランゲージ!

エイミー・カディ「ボディランゲージが人を作る」に学ぶ自分を強くするボディランゲージ!

ボディランゲージの力って?

あなたは今、どのような姿勢をとっていますか?腕を組んでいたり、ひじをついていたり。

腕を大きく広げているかもしれません。実は、ボディランゲージには人生を変えられる秘密があるのです。たった2分間で、あなたの人生をぐっと良くしてくれるボディランゲージがあるとしたら、どう思いますか?

誰も知らなかったボディランゲージの力

エイミー・カディ(Amy Cuddy)氏の人気ナンバーワンになったTEDのスピーチをご紹介します。スピーチの名前は、「ボディランゲージが人を作る」。英語の原題は、”Your body Language shapes who you are”です。



2012年の6月、スコットランドのエディンバラで行われたスピーチです。

エイミー・カディ氏について



エイミー・カディ氏はプリンストンの大学院を出て、ノースウェスタン、そしてハーバードに研究の舞台を移しました。現在はハーバード大のビジネススクールで研究をしている、社会心理学者です。

彼女の研究はボディランゲージについてです。競争意識の特に激しいMBAで教えた経験から、現在は“力や支配のボディランゲージ”を専門に研究を続けている方です。



TIME Game Changersでも彼女のことを以下のようにコメントしています。

 ハーバードの研究者エイミー・カディーは、ボディランゲージに少しの
“ひねり”を加えることが、人々をよりパワフルにしてくれると発見した。

— TIME Game Changers, March 19, 2012

ボディランゲージのパワーはすごい!

ボディランゲージは、そこまで人生に大きな影響があるのでしょうか?あなたはそう思っているかもしれません。実は、採用試験や昇進。デートのお誘いなど人生の大切な場面で、大きな影響があるのです。それが本当だということを示す事例が2つあります。



1点目は、タフツ大学のナリニ・アンバディ氏の研究発表です。“音のないビデオを見るだけで、医者が訴えられるかどうかを予想できる”ことを実験しました。音声を抜いたジェスチャーだけで、見る人は訴えられるかが判断出来るという結果だったのです。つまり、医者の能力や話す内容ではなく、患者との接し方・感じの良さからその人の評価を判断出来るのです。



2点目はより衝撃の事例です。プリンストン大のアレックス・トドロフ氏は“顔を一瞬見ただけで、選挙の候補者の当選の結果を70%の精度で予測出来る”と発表しました。70%とは、とても高精度ですよね。



このようにボディ・ランゲージが人生にもたらすパワーは絶大です。

エイミー・カディ氏が驚いたのは、他人だけではなく、”自分”もボディランゲージの影響を受けているということです。

猿の群れ、そして人間の”群れ”に起きている現象

ボディランゲージは言語情報ではないので、人間が進化して言葉を発するようになるずっと前から使ってきた、とても付き合いの長いコミュニケーション手段です。

もともと備わっているボディランゲージ?!

先日までリオでオリンピックが開催されていましたが、運動競技に勝った選手たちの笑顔は素敵でしたよね。その時に、彼らがどんなポーズをしていたか、記憶にあるでしょうか。競技にもよりますが、腕をVサインにあげてゴールを切る姿は陸上競技でよく見ますよね。

ゴールラインを切って勝利をした人がするVサインのポーズは、実は誰からも教わったものでなく、人間なら誰もがするポーズであると知っていましたか?

ジェシカ・トレーシー氏は”勝利のVサイン”のポーズを研究しました。彼女の研究によると、運動競技で勝ったときには目の見える人も、生まれつき目が見えない人も、同じように勝利のVを体で表現することが分かりました。

腕をVの字にあげて、あごをやや前に突き出すあのポーズ。誰からも教わっていないのにみんなこのポーズをするというのは、とても面白いですよね。一方、力がない・・・と感じている時は、その真逆のことをします。体を縮め、丸めて小さくなります。まるで身を守っているかのようですね。

猿の群れの力と支配のコミュニケーション

力と支配のボディランゲージは、なんと猿の群れにも起きていました。ボス猿が群れの中を陣取り、自信に満ちた様子で振舞います。ボス猿が引き継がれたときに、二代目のボス猿もまた、数日も経てば同じような様子で振舞うようになるのです。

 

エイミー・カディ氏が教えるMBAクラスでも、ボス猿のような生徒は存在します。彼らは教室の真ん中を陣取ります。そして我が物のごとく教室で振る舞うのです。

このボディランゲージは、ホルモンにすら影響を与えます。女性は一般的に力の差を感じているので、ボス猿と逆のような、縮こまるポーズをしがちです。MBAのクラスでは積極性が評価に影響するので、男女で成績にも差がついてしまいます。

このようなちょっとしたことだけど大きな差を、どうにかすることは出来ないのでしょうか?作り笑いをしていると悲しい気持ちが晴れたりするように、“フリをしているうちに、出来るようになるのか?”にカディ氏は注目しました。

体も心に変化を及ぼすのか?

力が溢れている人は決断力があり、自信があり、ポジティブである傾向があります。彼らは運任せな場においてさえ、自分が勝てると信じています。自分に力を感じているかは、行動やメンタルだけではなく、ホルモンのバランスでも見ることが出来ます。

2つのホルモン”テストステロン”と”コルチゾール”を見てみましょう。

・テストステロン: 代表的な男性ホルモン。社会性に影響をするので、
“社会ホルモン”とも呼ばれている。数値が高いと縄張り意識が強く、自分を
主張する人が多い。決断力にも影響する。男性的、リーダーシップのある人に高い傾向がある。

・コルチゾール: ストレスホルモン。糖やたんぱく質、骨の代謝など生命維持には必須。体をストレスから守る作用もあるが、高すぎると不眠や体のバランスを崩したりすることも。

さきほどのボス猿たちも、テストステロンが多くコルチゾールが少ないという結果があります。つまり、リーダーシップがありストレスに耐性がある状態です。

逆のボス猿以外の猿たちは、逆の結果になっています。

人間のリーダーにも同じことが言えます。リーダーシップがある人は、テストステロンが多くコルチゾールが少ないのです。

ポーズがもたらす行動とホルモンの変化

面白い実験の結果があります。

力強いポーズと、弱いポーズをして貰い、その2分後に賭けをするか聞きます。その後に、2つのホルモンの量を調べました。力強いポーズとは、腕を広げたり、腰に手を当てたりするポーズです。わかりやすい例は、ワンダーウーマンのポーズですね。

まず、力強いポーズをした人は86%が賭けに乗ります。力の弱いポーズをした人は60%の人しか賭けをしませんでした。これだけでも大きな違いですよね。

男性ホルモンのテストステロンは、力強いポーズの人たちは実験前と比べて20%増加しました。一方で力の弱いポーズをした人は10%減少しました。

ボディランゲージであるポーズは、相手だけではなく自分にも影響を与えていたのですね。

このポーズはストレスがかかる場面の直前に行うととても効果的です。面接、プレゼンの前などですね。これは相手ではなく自分に対して語りかけるためのポーズなので、人前や、面接中にはやらないでくださいね!(笑)

できるまでフリをしなさい

“Fake until You Make It”というフレーズを聞いたことはありますか?出来るようになるまでそのフリをしよう。ということです。

今までの話は、体が心に影響を与え、心が行動に、行動が結果に影響を与えるというものでした。それを聞くと、”なんだかフリをしているだなんて偽物みたいだ。嘘をついているようでいやだ。”と感じた方もいるかもしれません。

カディ氏の経験には、そんな風には思わないで欲しいと語る感動のエピソードがありました。

アイデンティティを失った辛い経験と、1人の生徒の話

エイミー・カディ氏はハーバードで教えているくらいなので、さぞかし頭が良いのでは・・・と思われるでしょう。実際聡明な方だとは思うのですが、彼女は学部生の時に、ひどい自動車事故に遭いました。カディ氏は車から投げ出され、頭に怪我を負いました。その影響で、IQがぐっと下がってしまったのです。(数値は言われていませんでしたが、”標準偏差2個ぶん”なので、かなりの低下であることは予想がつきます。)

彼女にとって頭が良いということがアイデンティティーでしたので、医師やまわりから大学卒業は難しいと言われ、本当にショックだったでしょう。

それでも彼女は長い時間をかけて大学を卒業し、大学院に5年行きました。大学院の初日に”フリをしている”ことがバレるのが怖くて、大学院まで引っ張ってくれた教授に”辞めます”と告げると、こう言われたそうです。

「あなたは辞めない。出来るようになるまでやるの。」

 

そうして彼女は恐怖や失敗を何回も乗り越えて大学院を卒業し、ノースウェスタン、そしてハーバードに行きました。ハーバードにいく頃には、自分がフリをしているうちに、出来るようになるばかりでなくいつのまにか”Become (= そうなっている)”ことに気がつきました。

ハーバードのクラスで一言も授業中に発言をしていない生徒がいました。彼女に、「このままだと落第するよ」と告げると、彼女はカディ氏のもとを訪れました。そして彼女は言うのです。「私はここにいるべきではないのです・・・。」

カディ氏の頭には、2つのことが浮かびました。1つは、彼女は絶対にここにいるべき人間であること!もう1つは、“Fake until You BECOME it”そうなるまでフリをし続ければ、必ずそうなれる、ということです。

後日。その生徒は、最高の意見をクラスで発言したそうです。・・・まるで、彼女自身が最高の生徒であるかのような”フリ”をして。

最後のメッセージ

カディ氏は繰り返し強調してくれました。

この先、人生でストレスを感じる場面の前に、2分間”力強いポーズ”をして欲しい。そしてそれを、広めて欲しい。決して自分を出せずに後悔した、ということのないように。

まとめ

感動もあり、科学的なアプローチもふんだんにある、素晴らしいTEDスピーチでした。

  • ボディランゲージは他人だけでなく、自分にも影響を与える。
  • 人間のリーダーなど力強さを感じる人は、支配のホルモンであるテストステロンが高く、ストレスを感じる時に出るコルチゾールが低い。
  • “力強いポーズ”をたった2分間するだけで、テストステロンを上げて、コルチゾールを下げることが出来る。
  • Fake until You BECOME It!フリをしていると、いつかはそうなることさえ出来る。

 

 

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