あたらしい働き方
本田直之さんがあたらしい働き方について記した一冊
本田直之さんの本を紹介するのは、7つの制約に縛られない生き方→ノマドライフに続き3冊目です。こちらが、本田直之さんがあたらしい働き方について書いてきた本の中で3冊目になります。
本田直之さんは、代表的な著作であるレバレッジシリーズや、企業に招待されてのスピーチなどで著名です。ご存知の方も多いのではないでしょうか。
ハワイと日本を行き来するデュアルライフは、まさに21世紀型のライフスタイルといえるでしょう。
本書は、本田直之さんがアメリカ・日本であたらしい働き方を実践し、かつ収益を上げている17企業・1組織にインタビューをしたまとめになります。
生き生きと、自分らしく働きためのエッセンスが詰まった一冊です。
あたらしい働き方は、始まっている
取材を通してみえてきたのは、本田さんの想像をこえるあたらしい取り組みをしている会社があったことでした。午後3時で仕事が終わってしまう会社。会社からの指示命令がないと語る人たち。クルーズシップをオフィスにする社員。1日数時間しか働かないという人たち。
ここような驚く働き方をしている会社が多くありました。しかも、好業績を挙げ、利益を出している。
このような、あたらしい働き方はすでに始まっている。ただ、ラクチンで労働時間が短くて、気ままに働くことを求めて、こうしたあたらしい働き方に向かおうとしても、まず無理だと思ったほうがいい、ということです。
このような会社は、ラクして気ままな社員を求めていないからです。なぜなら、このような働き方をするには、相応の能力やスキル、考え方が求められるからです。
古い働き方でいると搾取されてしまう
「失われた10年」という言葉は、日本のバブル後の経済を表すのによく使われる言葉です。しかし、多くの会社がこの10年で過去最高収益を出していたことは意外と知られていません。
この構造は、社員の平均収入がどんどん下がっていったからです。労働賃金を削って、それで収益を上げてきた、ということです。これは、労働者にとっては、かなり辛く、そして悲しい状況になってきている、ということです。つまり、古い働き方のままでいると、搾取されているといっても過言ではないということ。
本田直之さんは、そんなことに文句を言っていても仕方がないから、文句を言わなくてもいい自分になればいい、と仰っています。
“ワークライフバランス”への疑問
本田さんは、“ワークライフバランス”という言葉へ疑問を呈しています。それは、仕事はそこそこに行って、プライベートを充実させよう、という風に、人間の一生の大きな割合を占める仕事に対して半ば諦め・放棄をしてしまっているように聞こえるからです。
仕事もハッピーに、プライベートもハッピーに。そう出来ないか?ということへの1つの答えが本書だと感じます。
あたらしい会社選びの基準6つのクライテリア
「働きがいのある会社」と「働きやすい会社」の違い
Great Place to Workという組織が働きがいのある会社ランキングを、日本経済新聞社が調査にて、働きやすい会社ランキングを発表しています。
ここで明確にしておくべきなのは、働きがいのある会社と、働きやすい会社は似て非なるものだということです。
「働きやすい会社」が人にやさしい制度、など働きやすさを重視しているのに対して、「働きがいのある会社」は優秀な人材が自らのせいかを出しやすいか。そのサポートを真剣にやっているか。社員が成長出来るための環境を用意しているか。これらにフォーカスしています。
あたらしい会社選びの6つのクライテリア
それを踏まえて、あたらしい会社選びの6つのクライテリアを見て行きましょう。
2 時間・場所・休日
3 給与・評価
4 会社・経営者
5 環境
6 カルチャー
これらをイメージするのにわかりやすいように、17社へのインタビューを紹介してくれています。
本書の大部分はクリエイティブでワクワクする会社の紹介です。その後に、「そのようなプラットフォームを手にいれるために必要なスキル」ということで、17の仕事のスキル・思考のスキルが記されています。
それぞれ、いくつかピックアップしました。
「9時から午後3時まで」の6時間労働を実現させた日本企業
ZOZOTOWNなどを展開しているスタートトゥデイです。2007年に上場した、人気のオンラインアパレル企業です。
2012年から、労働時間を朝9時から午後3時までに変えてしまったのです。午後3時には、仕事を終えて会社を出ても構わない、ということです。
これは考えなしにそうしているわけではありません。日本の労働基準法上、6時間の連続労働が許されています。6時間以内の就業の場合、休憩はいりません。しかし、6時間を超えると45分の休憩が必要になります。
8時間になると1時間の休憩が必要になります。なので、休憩を入れてしまうと3時に終業ができず、もっと遅い時間になります。
休憩がないのでランチの時間はありませんが、デスクで軽食をかじったりするので、はるかに好評です。
こうすることで社員は子供のお迎えに行けたり、習い事や読書の時間にあてたりすることが出来るのです。
代表の前澤友作氏は、週5で8時間労働をすることが本当に人間的なのか。これをずっと問い続けていたそうです。そして、6時間労働に踏み切りました。
アンリミテッド・バケーション = 「日数制限のない有給休暇」がなぜ可能か
エバーノートにびっくりするような制度があります。それがアンリミテッド・バケーション。つまり、日数制限のない有給休暇です。
シリコンバレーのスタートアップでの典型的な働き方としては、みんな開発にずっと取り組んでいるため休む時間がない、ということです。超ハードワークなのです。エバーノートではきちんと休暇をとってほしいと考えたのだそうです。
そして考えた案というのが、日数制限のない有給休暇だったのです。
極端な話をすれば、365日有給休暇をとってもいい。ただ当然そんなことをする社員はいません。性善説のうえになりたっているともいえます。もっと言うと、最初から大人の社員しか採用をしない、ということです。
逆に言うと、いろいろな縛りをつける、というのはその社員を信用していない。大人として扱っていない、ともいえます。
IDEOのトム氏も、「最初の日から大人として社員を扱う」と言っていたそうです。
パタゴニアも申請をすれば長期の休暇をとることが出来るという、同じ考えを持っています。彼らの考えは、以下の通りです。
我々のMBAは、Master of Business Administrationではなく、Management by Absenceである。つまり、4人体制のチームにおいて、3人でも仕事がまわるようにすること。そうすることで、誰かが休める。誰かが休んでリフレッシュをしてきてくれることで、またチームが回る。そういう体制を持っている。
3人で回るのなら1人をクビにする、という考え方は、旧態依然としたものなのかもしれません。
もっと沢山シェアしたい事例があるのですが、あたらしい働き方を実現するための、17のスキルについてピックアップ致します。
求められているのは、「自由にレバレッジがかけられる人」
このようなあたらしい働き方をする企業は、非常に競争率が高いといえます。なぜなら、優秀な人材を確保していかないと、限られたなかで成果をあげることが難しいからです。
では、その中で勝ち抜ける人はどのような人なのか?というと、それは「自由からより大きなものを得よう、とレバレッジをかけることが出来る人」です。
自由だからといって怠けてしまうようでは、当然会社の中で裁量をもって自由なはたらき方を任せられることは出来ません。
コラボレーションできる能力
会社をプラットフォームとして活用する。組織の中でひとと一緒に仕事をして磨きあえる。そしてそれが成果につながる。それは組織を活用する魅力の大きなひとつです。
では、組織でコラボレーションをして大きな成果を出していくには何が必要でしょうか。
1つは、論理的に物事を伝えられる能力です。本質をひとことで伝える。これが必要です。そしてもう1つが、誰かと一緒に考えられる能力です。
誰かと話していることで、何かが生まれた経験はあなたもあるのではないでしょうか。誰かと話していく中で化学反応を起こす。これが、コラボレーションをする力です。
常に進化しつづけられる力
自分を常に変えられるかどうか。自分の今までやってきたことを完全否定できるかどうか。
あたらしい働き方をしている人に共通しているのは、学び続ける意識の高さです。
過去の成功体験にしがみつかず、自分が改善出来ると思ったことは素直に取り入れ、しなやかに成長をしていける。それが、変化の激しい時代の中で大切なことです。
まとめ
以上、本田直之さんの「あたらしい働き方」をご紹介しました。まとめるとこのようになります。
- 本田直之氏がアメリカ・日本で取材をした結果、想像していたよる遥かにあたらしい働き方をしている企業・組織があった。そしてその企業はワクワクと急成長している。
- 無論、ただラクをしたいがためにそのような組織に入ることは不可能で、自由にレバレッジをかけられるような自分になる必要がある。
- 自由にレバレッジをかけられる人材になり、組織をプラットフォームとして活用をすることが出来れば、より自分にとってハッピーなライフスタイルを得ることが出来る。
テクノロジーの進化や、働き方の変革によってより自由な働き方が可能になっています。これからの未来をデザインするために、是非参考にしてみて下さい!
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