「日本は何となく元気がなくって、暗い雰囲気がするなぁ…。」
「これからどんなスキル・思考法を身につけていけばいいんだろう?」
「仕事の合間にスキルアップ。資格?語学?海外へ行く?何が必要な能力なんだろう?」
こんな漠然とした不安、何となくの暗さといった日本の”閉塞感”を、あなたも感じたことがあるのではないでしょうか。
なぜ、神田昌典は「日本人(あなた)の未来は明るい」と
言い切れるのか?(本書 帯より)
時代の流れを読むのに長けたマーケティングのプロが、未来についてワクワクするために若者に向けて書いた一冊があります!
本の概要
・経営コンサルタント、神田昌典氏が身を削って書き上げた、渾身のキャリア論。
・Amazonの2012年のビジネス書ランキングで第1位を飾ったベストセラー。ビジネス書籍の決定版。
・歴史、経済、ビジネス、世界情勢(アジアと日本)、宗教、NPO。それらと「あなた」がどんな風に関わっているのか、未来の働き方はどう変わっていくのかについて、まんべんなく網羅されている。この本をきっかけとして、自分の気になったトピックを掘り下げて、”解像度”を上げていくのに最適な一冊。
神田昌典さんって?
上智大学外国語学部卒。在学中の大学3年のときに外交官試験に合格、4年次から外務省で勤務。学閥の壁を感じ外務省を辞め、「MBAランキング世界一位」常連校であるペンシルベニア大学ウォートンスクールでMBAを取得。その後、戦略コンサルティング会社、米国家電メーカーの日本代表として活動後、経営コンサルタントとして独立。
2007年に「GQ JAPAN」で“日本のトップマーケター”に選出。ダイレクトマーケティングの第一人者とされている。フォトリーディングなど、アメリカで流行っているものを日本に導入するのにも長けている方。
中小企業向けに、「売上を上げる」実力派コンサルタントとして活躍後、2007年、株式会社ALMACREATIONSを創設。現在の活動範囲は多岐に渡り、コンサルティング、執筆、講演活動などを行っています。
2022―これから10年、活躍できる人の条件が生まれたきっかけ
2010年にいわき総合高校の高校生700人を前に行った講演がこの本のベース。「これから10年活躍できる人の条件」がテーマですが、講演を行った神田さん本人は、なんと10年どころか3年後の未来すら考えられない状態でした。
講演の2週間前に、癌を宣告されたからです。それも、極めて悪性の癌でした。講演の当日まで、癌になったということを発表するか悩んだそうです。ですが死を覚悟した状態で、「どうすれば、時代を推し進める原動力となれるのか?また同時に、未来から応援される人になれるのか?」について話しました。言いづらいことも含めて、最初から最後まで本音で語ってくれている一冊です。
そんな2022―これから10年、活躍できる人の条件の内容を見ていきましょう。
第1章 先が見えない世の中って言うけれど、それは天気予報があるのに知らないようなもんだ
第2章 平成「ええじゃないか」が、なぜ必要か?
第3章 踊る中国 沈む日本
第4章 二〇二四年、会社はなくなる!?
第5章 インフォ・メーションからエクス・フォメーションへ
第6章 四〇代が、時代のはざまに架ける橋
第7章 二〇二二年 − 再びページを開くとき
第3、4、5章に、”20代にとって知っておくべきキャリア論”が詰まっているので、こちらを中心に見ていきましょう!
踊る中国 沈む日本
中国と日本の人口ピラミッド
2020年で頭打ちの日本の経済とイノベーション
あなたは、「人口ピラミッド」から、何が予想できると思いますか?単なる統計?数字でしょうか?神田さんは、人口ピラミッドが経済の大きな流れを予想するのに有効だということを、このように述べています。
人口動態に基づく経済予測で名高い、米国のエコノミスト、ハリー・S・デント氏の過去十年にわたる予想では、誰もが想像すらできなかった経済の変動を、何年も前から予想し、的中させている。
(少し古いですが)ここは本書に書かれていたものと同じ、2010年の日本の人口ピラミッドを見てみましょう。
出典 「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」(国立社会保障・人口問題研究所)
35〜45歳の大きな山は、団塊ジュニアです。それより上の、40代後半が「一生のうち最も消費をする年代」と言われています。子育ての真っ盛りの年代です。つまり、節約をしたくても、養育費、住居費などさまざまな出費を抑えられない世代です。
デント氏の予測法を極めて単純化すれば、「景気は46歳〜50歳の人口の増減によって決まる」というものです。バブル経済の崩壊も、この層の消費にストップが起こったことがトリガーとなっています。
今日本の人口で厚いのは団塊ジュニアの35〜45歳の層です。彼らはまさにこれから景気を決める46〜50歳の層になっていきます。驚くことに、日本は「いま不況だから・・・」という考えは間違いで、「いまはまだいいけれど、これから悪くなる」と考えなくちゃならないのです。
さらに悲しいことに、国のイノベーションの大きな消費者層は、あたらしいものに飛びつきやすい若年層です。我々のような若年層がイノベーティブな商品・サービスに飛びつくことで、新たな技術への投資が起こりやすい背景がありました。2020年からストップする人口に伴い若者は徐々に減り続け、いくら技術力の高い日本といえど、イノベーションを起こしづらくなるのです。
デント氏は2020年以降の日本経済について、「国も人もいずれは死んでしまう」と言っています。まさに余命宣告をしているのです。
中国経済は2025年まで止まらない
中国経済の勢いは、2025年まで止まることを知らない。以下の人口推移を見ると、一番消費を行う第二次ベビーブーマー世代が、なんと約3億人もいることがわかる。
彼らは、これから10年にかけて、どんどん消費を加速させていくので、2020〜2025年あたりまで、中国経済は大きく成長していく。
参考 Population Pyramids of the World from 1950 to 2100
・さらに経済の原動力である起業がブームになっている。2010年、Forbes誌による世界長者番付では、中国人富豪の数は、アメリカに次いで、なんと第二位です。
・ここにはからくりがあります。中国の人口は13億人。これは日本の約10倍です。1つ当たる商品を作ってしまえば、単純計算で日本の10倍のスピードで富が築かれていくからです。
・ただそんな中国の高度成長も永遠ではなく、これらベビーブーマー世代が50歳を超えるタイミングで経済はピークアウト。その後には急速に高齢化社会が進んでしまいます。
日本人は、アジアのリーダーを自覚せよ!
・「中国は2025年まで発展、日本は2020年以降、崖から転がるように落ち込む」。こうしてみると、ものすごく暗い話のように思えるかもしれません。
本書は、日本人のための本である。悪いが、英語、中国語、韓国語には翻訳させない。なぜなら世界中の人々が、日本人に嫉妬してしまうからである。 – 本書第1章より
神田さんはこのように言っています。実はこの章こそが、本書の一番痺れるパートです。
何も神田さんは日本人を贔屓しようとしている訳ではありません。アジア諸国が将来的に高齢化していく中で、先に高齢社会を迎えた日本がそのノウハウを活かして、クリエイティブに、そして心温かい人材として世界に出て行けば。日本の未来は明るくなるのではないか?という熱いメッセージが込められています。
やみくもに世界に出よ!と言うのではなく、“仕方なく日本に引きこもるのはやめようよ。もっと明るい未来のために。”そう語りかけてくれる章です。
二〇二四年、会社はなくなる!?
2024年、会社はなくなる?!この章が一番印象に残ったと口にする人は多いです。
神田さんはなぜ、「あと数年で会社はなくなる」と言うのでしょうか?
プロダクトライフサイクル理論
プロダクトライフサイクルとは、製品が市場に投入されてから、次第に売れなくなり姿を消すまでのプロセスのことです。それを一生に例えて、プロダクト”ライフサイクル”と言われています。
導入期、成長期、成熟期、衰退期の4つにわけられています。
神田さんは、iPhoneのモデル・機能の今後の変化を、プロダクトライフサイクルを使うことで見事言い当てています。現在は2016年。出版されてから4年が経過していますが、iPhoneの売上げがいつ頭うちするのかや、iPhone5cのタイミングでカラーバリエーションが出てくることなどが書かれています。
まさに、神田さんの「予言」とも「予報」ともとれる熱いメッセージが少しずつ的中しはじめています。今こそ、リアルに自分ごとにしながら読むことが出来るといえます。
2024年、会社の概念がなくなる?!
”2024年会社はなくなる?!”の根拠として、神田さんは、プロダクトライフサイクル理論を、会社という概念に当てはめています。
企業の寿命(盛期)について調べてみると、以下のようになっています。
・1970年初: 約50年
・1983年: 30年
・1997年: 12.5年
・2008年: 10.5年
いまや、会社の寿命は10年以下という見解。つまり、「会社」という概念のライフサイクルが、終わりに差し掛かってきています。そのコンセプトの終わりは、2024年。
フリーエージェントやNPO、社外でプロジェクト的に活躍する人、社内ベンチャーで活躍する人。など、活躍の舞台・働き方の部隊が従来の終身雇用を前提とした「会社」の中ではなくなっているといえます。
インフォ・メーションからエクス・フォメーションへ
活躍するための鍵となるエクス・フォメーション
それでは、何を学べばいいのでしょうか?
・会社の組織の変容には10年がかかりますが、あなたの変化はどうでしょうか。いま一歩を踏み出せば、2〜3年後には驚くほどの実力を発揮出来るようになります。
・そこで鍵となるのは「エクス・フォメーション」という言葉。
・イン・フォメーション: 外からの情報を受け入れて、自分の中に認識を形創ること
・エクス・フォメーション: 自分の内にある認識を、外へ形創っていくこと
・インターネット普及率が上限に達したため、情報そのものを正しく得ることに価値があった時代は変わり、“検索できない答えに価値がある”時代へシフトしています。
→ この流れを、“情報化時代から、知的創造時代へのシフト”と神田氏は言います。情報を詰めこむだけでは決して到達出来なかったところへと、エクス・フォメーションの練習をすることは最短で連れて行ってくれるのです。
まとめ
(かなり長文になりましたが…笑)2022の良いところ、響くところの、これでもほんの一部紹介しました。まとめはこちらです。
・踊る中国 沈む日本: 日本の成長は頭打ち。中国は2025年まで勢いが止まらない。日本は殻に閉じこもるのではなく、アジアでリーダーシップを発揮出来るよう自覚を持とう。
・2024年、会社はなくなる!?: 会社という概念が、遅くとも2024年には寿命を迎える。これからは、会社という組織にとらわれず活躍が出来るし、する必要がある。新しい概念に向けて積極的に準備をしよう。
・イン・フォメーションからエクス・フォメーションへ: 会社では時間のかかっていた成長が、エクス・フォメーションで自分の価値観を外に形創ることで、短時間で得られる。
◇
是非、このワクワクを読んで見て感じて下さい。そして、”本当なのかな?”と思ったところを、深堀をして解像度を上げられる本も今後ご紹介していきます。
その中から何冊かあなたにあった良書を読めば、視野がグッと広がり、これからがワクワク出来ること間違いなしです!
前例のない時代に生きる私たちを鼓舞してくれるような、そんな一冊です。
追伸: 気になったところ、感じたことは、是非読書会でアウトプットをして、「検索できない情報」としてエクス・フォメーションしてみて下さい。